除名無効の仮処分決定 大阪広域協の強権支配にかげり

大阪広域生コン協組の強権支配にかげりが見えだした。加盟企業の仕事を干し上げたあげくに除名した問題で6月21日、大阪地裁が除名無効の仮処分決定を下した。

強権支配のための見せしめ

大阪広域生コン協同組合(広域協)は、ティーワイケイ高槻生コン(大阪府高槻市。以下、高槻生コン)が連帯ユニオンの輸送ゼネストに「同調した」と難癖をつけ、昨年12月中旬からシェア割りにもとづく仕事を割り付けず、仕事を干し上げてきた。さらに、この不利益扱いについて同社が国会議員に陳情したところ、その行為が連帯ユニオンとの全面対決方針を打ち出す広域協の「事業を妨げ、又は妨げようとした」ものに該当するとして、今年4月には強引に広域協から除名した。

広域協執行部に従わないとこうなるぞという見せしめ処分であることはあきらか。この裁判は、こうした強権支配に抵抗して、高槻生コンが広域協を相手取っておこしたもの。

「除名決議の内容は法令違反で無効」

大阪地裁民事第1部は、6月21日の仮処分決定において、ゼネストに際して高槻生コンが「出荷を拒否したとは認められず、ゼネストに同調したとも認められない」、また、「共同事業を妨げ、又は妨げようとしたものと評価することはできない」と認定したうえで、「除名事由はなく、除名決議の内容は法令に違反するものであるから無効」との明快な判断を示した。

そして、①高槻生コンが広域協の共同受注・共同販売事業においてひきつづき割り付けを受ける地位を有することを仮に定めるとともに、②広域協に対し、同社への出荷割り当てを停止又は減少させてはならないと命じた。

民主的かつ公平であるべき中小企業協同組合

中小企業協同組合は、大企業の横暴に対抗するために法律で保護された業者団体だ。独占禁止法の適用除外を受けた共同受注・共同販売などの組織運営は、加盟企業間の相互扶助精神で成り立っている。

ところが広域協の執行部の一部は利益率の高い物件を独占したり、異を唱える加盟企業を冷遇するなどして、かねてより協同組合の趣旨に反するとして問題視されてきた。高槻生コンに対する割り付け停止、そのあげくの除名強行という暴挙は、その協同組合にあるまじき強権支配の氷山の一角だ。

広域協は仮処分決定を真摯に受け止め、一部執行部による非民主的な組織運営をただちに改めるべきだ。