韓国建設労組が日本大使館に抗議

韓国の建設労組(5万人)が1月9日、抗議書簡を手渡すためにソウルの日本大使館を訪れた。連帯ユニオン関西地区生コン支部に対する異常な権力弾圧の即時中止を求めたものだ。

建設労組は韓国のナショナルセンター(中央労働団体)の中心的な組織のひとつで、連帯ユニオンとは17年越しの兄弟的連帯関係にある。1月9日の行動は、昨年からつづく関西地区生コン支部に対する権力弾圧は、正当な労働組合のストライキに対する弾圧だと位置づけ、即時中止を求めたもの。日本大使館は受け取りを拒否した。

日本大使館宛ての抗議書簡全文は以下のPDFで読むことができます。

建設労組日本大使館宛て抗議書簡(PDF)

韓国のメディアもこの連帯行動に注目して、以下のような記事を掲載している。

〇毎日労働ニュース
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=156117
「日本政府は建設労働者弾圧を中止し拘束者を釈放せよ」
運賃引き上げを要求した生コン労働者39名を逮捕… 建設労組、9日駐韓日本大使館に抗議書簡伝達(2019.01.08)

日本政府が生コンの運賃引き上げの約束履行を要求しストライキを行った生コン労働者を逮捕し問題となっている。韓国の労働界は日本政府のこのような行為を労組弾圧と規定し、「日韓建設労働者労働基本権保障のための連帯闘争」を決議した。

8日、建設労組によれば、全日本建設運輸連帯労組が昨年12月から関西地方全域において全面ストライキを行っている(原文ママ)。生コン業者が5年間繰り返してきた運賃引き上げという約束をただの一回も守らなかったためだ。

労組は「京都・奈良・和歌山・滋賀などの生コン業者は労組の運賃引き上げ要求を受け入れ、問題を円満に解決したが、大阪の生コン業界は労組の要求を一貫して無視し、組合員に仕事を与えず労組破壊攻撃を試みた」とし、「日本政府もやはり会社側に立ち労組弾圧に出た」と明かした。労組によれば、日本政府は全日本建設運輸連帯労組のストライキに関連して威力業務妨害・恐喝未遂容疑で昨年12月までに39名の生コン労働者を逮捕した。そのうち21名は起訴され9名は拘束されている。

労組と全日本建設運輸連帯労組は毎年の交流を通じて両国の建設労働者の実態を把握し、労働基本権が保障されるために連帯している。労組は「日本政府に拘束者の釈放と全日本建設運輸連帯労組に対する弾圧の中止を要求する」とし、「日本のすべての建設労働者が労働基本権を保障され労組の正当な活動が公権力によって破壊されるという問題が解決されるまでともに闘う」とした。労組は9日、拘束者の釈放と労組弾圧の中断を要求する抗議書簡を駐韓日本大使館に伝達する。(イ・ウニョン記者)

○韓国日報(2019.01.09)
建設労組が日本大使館を訪れた理由は
http://www.hankookilbo.com/News/Read/201901091638343121?did=NA&dtype=&dtypecode=
国内の労働組合が駐韓日本大使館を訪れ、日本政府による労組弾圧に抗議するデモを行った。哨戒機レーダー問題、徴用工賠償判決などで日韓関係が緊張する中、両国の労働界の連帯は続いている。

全国建設労組は9日午前、日本大使館のあるソウル・鐘路区のツイン・ツリー・タワー前で記者会見と共に抗議書簡の伝達式を行った。建設労組によれば、日本政府は昨年8月から12月までの4か月間で「全日本建設運輸連帯労組」(以下、連帯労組)所属の組合員39名を逮捕し、そのうち21名を起訴、9名を拘束中だ。連帯労組は主に日本の大阪地域で活動する、生コン・ダンプ運転手などの労働者約3000名が所属する団体だ。連帯労組が「生コンの運賃引き上げの約束を守れ」とストライキを行うや、日本政府が業務妨害・恐喝未遂などの容疑を適用し鎮圧に出た。
建設労組は安倍晋三総理を受取人に明示した抗議書簡において「連帯労組の要求とストライキは生コン業界で働く労働者の生活を守るために産別労組として労働組合活動を行ったものであり、その目的と手段は正当な労働基本権の行使」だとし、「不当な刑事弾圧に断固として抗議し、組合員を早急に釈放することを要求する」とした。日本大使館側が書簡の受け取りを拒否し、伝達はなされなかった。

建設労組が他の国の労働問題にまでかかわりを持つのは、連帯労組との17年をこえる強い関係があるためだ。2001年、生コン労働者によるソウル・汝矣島の上京闘争当時、警察がハンマーと斧などを動員し強制的に解散される映像に接した後、韓国の労働運動に関心をもった連帯労組は、自分たちの使用者でもある日本企業・太平洋セメントの双竜セメント買収をきっかけに建設労組との交流を本格的に開始した。連帯労組は2002年の双竜セメントの労使紛争時、建設労組に闘争カンパ3000万ウォンを送ったりもした。その後二つの労組は毎年両国を行き来し交流を行っている。キム・ジュンテ建設労組教育宣伝局長は「2015年に建設労組タワークレーン分科の幹部5名が拘束されたときは、駐日韓国大使館に抗議書簡を伝達してくれたこともある」と伝えた。