労働法律旬報が関生支部事件で特集号

『労働法律旬報』1月合併号が、関生支部に対する弾圧事件で特集を組んだ。

「労働者の団結件・団体行動権―憲法28条の意義」と題した特集は、次の5つの論稿を掲載している。
①弁護士 宮里邦雄
 「労働者の団結・団体行動権の保障」
②弁護士 里見和夫
 「大阪広域協組4人組が主導する不当労働行為と組合潰し攻撃の実態」
③連帯ユニオン書記長 小谷野毅
 「業者団体と警察が結託した組合つぶし攻撃とたたかう」
④弁護士 永嶋靖久
 「関生支部への刑事弾圧」
⑤弁護士 棗一郎
 「安倍改憲と平和・労働運動の危機」

なお、特集を組んだ目的について編集部は以下のように書いている。
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掲載にあたって

 「労働者は団体交渉やストライキなどの争議行為について国家の不当な干渉・妨害を受けない権利を認められる。団交や争議行為は、権利の行使としてもはやそれ自体としては犯罪となることはないから、国は労働者のこれらの行為に対して刑罰を加えて取り締まることは許されない」(『労働法事典』(労働旬報社、1979年)221頁)。これは、憲法28条における団結権・団体行動権の説明である。

何をいまさら、そんな当然でわかりきったことをと思われる読者がいるならば、いま日本で起きている労働問題に疎いといわねばならない。いまこの日本では、労働運動をすれば逮捕され、拘留され、不当な扱いを受けるのである。労働組合活動として、会社に要求したことが恐喝や強要などの犯罪として扱われる。

 「ついに裁判所は、暴力団と労働組合の区別もつかなくなった」とは、宮里邦雄弁護士の言葉だが、昨年より繰り広げられている全日建連帯関西地区生コン支部に対し異常ともいうべき大がかりな刑事弾圧が加えられている。

(中略)

 これは、一部の労働組合の問題ではない。すべての労働組合、そしてすべての労働者の問題である。なぜ、憲法は労働者の団結権・団体行動権を保障したのか。国家からの不当な干渉や妨害から労働者のこれらの権利を守り、これらの行為に対して刑事免責を認めたのか。それは、団結して行動することが、労働組合・労働者の唯一の武器であり、それなくして、労働者は使用者と対等にものも言えなければ、権利を主張することもできなくなるからである。賃金は引き下げられ、長時間労働が蔓延し、その結果、市民的役割をはたすことができず、民主主義は崩壊する。権力者の都合の良い世界ができあがる。安倍総理は、”戦後レジームからの脱却”をうたっているが、戦後憲法で認められた労働組合もその脱却する一つに数えられているのかもしれない。

 いま憲法28条の意義を問い直すことはそれほどに重要なのである。